今、私は、たっぷりの野菜炒めとチャーハンをツマミに、いや、ご飯がわりに、クルマの中でビールを飲みながらこの記事を書いている。
さて、2月に、何度かこの店の前を通る事があった。いつも気になっていた町の中華屋さんだ。ある日の昼、店の照明が点いていて駐車場も空いていたため飛び込んでみると、開店前ということで丁重に断りを受けた。・・・そんなわけで、その日は天童さんに行ったような覚えがある。
・・・で、本日12:00ついに初の上海上陸となった。
店内は混雑していたが、運良く相席で座らせてもらう事が出来た。
殺気が無い。
・・・この店には繁盛店、というか混雑店にありがちな殺気(主に店の人が発している)が無い。
店の人は慈悲深い笑顔で静かに注文をさばいている。
・ラーメン・肉入り野菜炒め・チャーハン(二人で食べるつもり)を頼んだ。
盛りが多いだろう事は現代のツールを駆使して知っていたので、予め店員さんには「チャーハン食べきれなかったら持ち帰りさせてもらえますか?」と声を掛けた。店員さんは折り詰めの催促と察して「タッパね、はい〜」と快く応じてくれた。
すぐに、ラーメンが。
一口啜る。
「あ、ゴメン、美味しい・・・」
・・・あれ?、オレ、今、誰に謝った?
繊細な味だ。煮干し出汁の上品な味と香り。中華の香辛料の微かな香り、そしてスーパーで売ってる胡麻油とは違う香り・・・。
続いてフードパック(お祭りの時とか、焼きそば入れるアレ)をレジ袋に入れて持って来てくれた。中を覗くと、大ぶりなアレが2個入っている。変だ。オレは「チャーハン残すかもだから、持って帰るかも?」のアピールをしたはず。何故2個か?
あ、あれだ。そうか、あれか。オレら完全ナメきられてるでしょ?チャーハン全残しか、チャーハン半残し&野菜炒め半残しぐらいの事考えてんでしょ?
野菜炒め来た。
とんでもない物が来た。(上の写真で手前に写っているのはノーマルラーメン鉢です。つまりラーメン鉢より大きい皿に山盛りの野菜炒め。ちなみに写真奥は通常サイズの中華スープ椀。)写真では伝わらないと思うが、テーブルに置かれた時に「ドーン!」という音がした。実際に音がしたのか、オレの心中で擬音が響いたのかはよく分からないが、そんな事はどうでもいい。
おれ、かなりマズイ状況に追い込まれてる。ね。
食べきれないね。なら、恥をかくまえに詰めるべきだろう。
食べ残しをパック詰めする貴族 と パック詰めした後、残りをありがたく頂く乞食。
オレは当然後者を選ぶ。
詰めろ!詰めまくれ!詰め・・・チャーハン来ましたーーー
どーん!!なんつー盛り!これで並盛。完敗です。戦う前に負けた・・・。
しかし、写真で食べ物の大きさとか体積感をだすのは難しいね。今こうして写真を見ると子供用の皿にチャーハンが無造作に盛られているように見える・・・。
で、一応頑張ってはみたものの、当然の如く完敗に終わった。大きなフードパック2個にキッチリお世話になる事となった。
魔都 上海 いずれ、また死ぬ気で挑む日が来るのだろう。
帰り際、厨房内に向かって詫びる男性客の姿があった。チャーハン(おそらく大盛り)を食べ切れなかったのだ。心底申し訳なさそうに
「すみません、初めて来たんです・・・わからなかったんです・・・」
謝りながら出て行こうとする男に、店の人は「いいんですよ〜」と、笑顔で見送る。その顔には敗者を労る勝者の爽やかなる慈悲が感じられ、そして、そのカウンターには・・・
他店であれば並み盛りであろうと思われる量のチャーハン
・・・が静かに残されていた。
レゼルブランシュへまた行ったので、通りの反対側から写真を撮ってみた。
いやー、凝ってるなー。カッコいい。